スティーヴ・ジョブズ氏を悼む2011/10/06 21:22

 米アップル前CEOのスティーヴ・ジョブズ氏が亡くなった。

 僕はアップルの製品といえばiPodしか使っていないし、とりたててアップルのファンでも何でもないのだが、氏に率いられた同社がこの三十数年間いかに優れた業績を残してきたかは分かる。

 今人々がPCを当たり前のように使える状況になったのは、どんなに控えめに考えても、アップルの登場があったからなのは間違いない。80年代初頭の「マイコン・ブーム」をリアル・タイムで体験した者にとって、アップルの名は憧れそのものであった。当時、個人用のコンピューター最高峰といえばアップルだった。

 僕はアップルの全てを評価してはいないし(音楽のネット配信とか)、ここで氏の評伝みたいなものを書く気はない。ただ、僕が思う氏の偉大さについて触れてみたい。

 ずばり、スティーヴ・ジョブズの偉大さはその精神にある。体制への反逆、常に新しいものを求める姿勢。そして何よりも素晴らしいのは、多くの人々の心の深くに訴える作品(とあえてここでは言いたい)を生み出してきたことだ。

 アップルの製品に触れてみて思うのは、何て自由な発想に満ちているのだろうということだ。まるで人間の心を外界に開くための道具として存在しているみたいだ。工業製品なのに人を機能に従属させるような圧迫感が無い。これらがジョブズ氏の精神を体現したものであることは論を待たないだろう。

 氏に匹敵するような個性の持ち主というと、ほとんど思い浮かばない。あえてミュージシャンの中から探すと、登場がその後のシーンを一変させてしまった革新性という点でエドワード・ヴァン・ヘイレン、新たなコンセプトを生み出しそれを実現する創造性を長きに渡って保ち続けるという点でパット・メセニーといった人々だろうか。ちなみにエディもパットもジョブズ氏と同世代である。

 氏は人々に夢を見ようと呼びかけることのできる、現代では非常に稀有な企業家であった。企業家であると同時に芸術家であった。とにかく今分かっているのは、スティーブ・ジョブズのような人間は二度と現れないということだけである。

 また一つアメリカの偉大な精神が失われたことに心から追悼の意を表したい。
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