勝間和代 『断る力』2009/04/30 23:35

出版社の「売る力」を感じさせます。

H.D.ソロー 『市民の反抗』2007/11/22 23:30

岩波文庫から出ている、H.D.ソローの『市民の反抗』を読み直している。

良心的不服従についての古典である。ソロー自身が人頭税の支払を拒否して一晩だけ投獄されたことをきっかけに、書き上げられたものだ。

普通ならただの愚痴になってしまいそうなものだが、その後の非暴力運動や市民運動に大きな影響を与えるような書になったというところが素晴らしい。

ジョン・ロック以降の革命権思想に基づいているところは、古典民主主義の域を出ないものだが、ソローの先進性は市民の良心を政府に優先させているところだ。これは、ソロー自身が隠遁生活を送るなど世捨て人のような性格だったところから来ているのだろうが、こうしてエッセーに残したことで、新たな思想が生まれた。

現代社会で革命権を行使することは容易ではない。政治に対する不満は直接行動ではなく、投票によって吸収される。政治家達はそれで民意が得られたとうそぶく。

ソローの気概は引き篭もりになってしまった。いや、ミャンマーのように人々が路上に出て何かを変えようとする願望は未だに存在する。ただ、先進国では人々が眠っているだけなのだ。
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