『20世紀少年』 浦沢直樹 ― 2007/11/09 22:43
先頃、ついに完結した浦沢直樹の『20世紀少年』(正確に言うと、完結したのは『21世紀少年』において、であるが)について書こうと思う。
僕は連載は読んでおらず、最近コミックでほぼ一気に読んだのだが、非常に面白かった。8年かけて読んでいた人達は大変だったろうが、某サイトのカスタマー・レヴューでよく指摘されているような「ダレ」は感じなかった。むしろ後半になるにつれて、作者の世界観が深化したように思う。
20世紀の後半を生きてきた人々の思いを、T.レックスの「20センチュリー・ボーイ(20th Century Boy)」にひっかけたタイトルの下、ノスタルジックに書き連ねていった作品であるが、要所でロックが鍵となっているだけに、音楽に興味のない人には分かりづらい内容になっているのかも知れない。
ケンヂが中学校の昼休みの校内放送で、前述のT.レックスの曲をかけるところから始まり、最後にそのシーンが再び登場する。ケンヂは、ロックをかけても何も変わらなかったと思っていたが、実はカツマタ君の命を救っていた...というオチである。
音楽を捨て、フランチャイズ契約して酒屋からコンビニになった実家を継いで、しがない店長になっていた主人公が、「ともだち」と闘うことを決心したのは、初めて手に入れたエレキギターを衝動に駆られて一晩中弾いた後である。
死んだと思われていた主人公が再登場する時も、ギター(アコースティックになっていた)が重要な役割を果たしてる。
ロックの理想が世界を救うなんて幻想だという20世紀の失望が、21世紀に覆るのである。
やはり、心底ロックに入れ込んだ人間だけがこのカタルシスを味わうことの出来るのだろうか。それ以外の読者の関心は、どうしても「ともだち」の正体に絞られてしまった感がある。
音楽的要素以外として、オウム事件以降の日本社会についての考察もこの作品の骨格を成している。これについては書き始めると長くなるので、後日改めてということにしたいが、意外とこれについての指摘は少ないように思う。「ともだち」の教団はオウム真理教そのものだし、「ともだち」がばら撒く細菌はサリンがモチーフになっているのは明確だ。
謎解き要素があったため、推理エンターテインメントに祭り上げられてしまった感があるが、本作は前述のような哲学的要素の方が多分に強かったと僕は思う。はっきり言うと、僕は「ともだち」の正体などどうでも良かった。
『モンスター』と並び、氏の代表作として後世まで語り継がれるであろう傑作だと言いたい。浦沢直樹が手塚治虫を超えたとは言わないが、違った意味でスケールの大きい作家であると僕は思う。
僕は連載は読んでおらず、最近コミックでほぼ一気に読んだのだが、非常に面白かった。8年かけて読んでいた人達は大変だったろうが、某サイトのカスタマー・レヴューでよく指摘されているような「ダレ」は感じなかった。むしろ後半になるにつれて、作者の世界観が深化したように思う。
20世紀の後半を生きてきた人々の思いを、T.レックスの「20センチュリー・ボーイ(20th Century Boy)」にひっかけたタイトルの下、ノスタルジックに書き連ねていった作品であるが、要所でロックが鍵となっているだけに、音楽に興味のない人には分かりづらい内容になっているのかも知れない。
ケンヂが中学校の昼休みの校内放送で、前述のT.レックスの曲をかけるところから始まり、最後にそのシーンが再び登場する。ケンヂは、ロックをかけても何も変わらなかったと思っていたが、実はカツマタ君の命を救っていた...というオチである。
音楽を捨て、フランチャイズ契約して酒屋からコンビニになった実家を継いで、しがない店長になっていた主人公が、「ともだち」と闘うことを決心したのは、初めて手に入れたエレキギターを衝動に駆られて一晩中弾いた後である。
死んだと思われていた主人公が再登場する時も、ギター(アコースティックになっていた)が重要な役割を果たしてる。
ロックの理想が世界を救うなんて幻想だという20世紀の失望が、21世紀に覆るのである。
やはり、心底ロックに入れ込んだ人間だけがこのカタルシスを味わうことの出来るのだろうか。それ以外の読者の関心は、どうしても「ともだち」の正体に絞られてしまった感がある。
音楽的要素以外として、オウム事件以降の日本社会についての考察もこの作品の骨格を成している。これについては書き始めると長くなるので、後日改めてということにしたいが、意外とこれについての指摘は少ないように思う。「ともだち」の教団はオウム真理教そのものだし、「ともだち」がばら撒く細菌はサリンがモチーフになっているのは明確だ。
謎解き要素があったため、推理エンターテインメントに祭り上げられてしまった感があるが、本作は前述のような哲学的要素の方が多分に強かったと僕は思う。はっきり言うと、僕は「ともだち」の正体などどうでも良かった。
『モンスター』と並び、氏の代表作として後世まで語り継がれるであろう傑作だと言いたい。浦沢直樹が手塚治虫を超えたとは言わないが、違った意味でスケールの大きい作家であると僕は思う。
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